1. オフィスの種類
オフィスには2種類あり、それぞれメリット・デメリットをおさえた上で借り上げることが重要です。
メリット・デメリット
インド進出間もない企業や少人数の企業は、レンタルオフィスを選ぶ傾向にありますが、中・大規模な企業や賃貸オフィスを選んでいることが多いです。
2. 物件形態
レンタルオフィスについて、物件形態は主に3つあり、日系企業の場合は家具付きで借りていることが多い印象です。
3. 費用の掛かり方
【1】賃貸オフィス
スクエアフィート (以下、sqf) あたりの賃料が決まっており、賃料に広さを乗じて算出します。
その他、メンテナンス費(共益費) が発生し、こちらはビルごとにsqfあたりの単価が決まっています。
家賃同様に、広さを乗じて算出することとなります。
(sqfあたり賃料+メンテナンス費) × 広さ (sqf) = 家賃
(例) sqfあたり家賃 Rs.120, メンテナンス費 Rs.20, 広さ1,000sqfの場合
(家賃 Rs.120/sqf + メンテナンス費 Rs.20/sqf) × 1,000 = Rs.140,000
家賃とは別途発生する費用
必須:電気代、インターネット代、プリンター代、清掃員
必要に応じて:受付スタッフ及びセキュリティの雇用、お茶くみスタッフ
【2】レンタルオフィス
デスクあたりで値段が決まっており、デスクあたり料金に広さを乗じて算出します。
基本的には光熱費などの諸経費が込みとなっています。
会議室の利用は、月内の利用可能時間が決まっており、範囲内を超えた場合は超過料金が掛かる場合があります。
デスクあたり費用 × 人数 = 家賃
(例) デスク辺り費用 Rs.30,000、社員数5人の場合
Rs.30,000 × 5人 = Rs.150,000
上述の通り、会議室の超過料金については別途発生する場合があります。
電気代、インターネット代、清掃サービスは家賃に込みとなっています。
また、多くのレンタルオフィスでは、受付、セキュリティが常駐しており、コーヒーメーカー等も設置している所がほとんどです。
【3】家賃に含まれているもの・含まれていないもの
4. 一般的な契約条件
契約を結ぶ上で主な項目は以下の通りです。
インドの不動産の商慣習に合わせて交渉をしなければ、貸主に交渉のテーブルにもついていただけないこともあるため、あらかじめ注意が必要です。
レンタルオフィスの場合、契約条件は各物件により異なるので、賃貸オフィスについての説明となります。
デリーNCRの場合です。ムンバイ、バンガロールは条件が大きく異るため要注意です。
5. 初期費用
賃貸オフィスについて、契約面での初期費用は以下の通りです。
登記費用については、以下3種類の費用が発生します。
これらは用語説明でも記載の通り、貸主と借主で折半とすることが一般的です。
1. 印紙代 (家賃により価格は変動)
契約期間が5年未満の場合 : 年平均家賃の1.5%
契約期間が5年以上かつ10年未満 : 年平均家賃の3%
2. 登記代 (Rs 17,000)
3. 行政書士への費用 (Rs5,000前後)
6. 必要書類
オフィスを契約する際、以下の書類を求められることが一般的です。
あらかじめ準備の上、契約手続きを進めることをお勧めします。
- MOA: Memorandum of Association (基本定款)
- Certificate of incorporation (会社設立証明書)
- Company PAN card (会社の納税カード)
- Passport, VISA of authorised signatory (署名権限者のパスポートとビザコピー)
- Company stamp (社印)
- Personal pan card/Aadhar card
- Board resolution (署名者に権限があることを証明するための取締役会決議書)
同時に貸主側へは、以下の書類を取り寄せの上、顧問弁護士や社内法務部でのチェック(デューデリジェンス)を行う必要があります。
- All commercial ownership documents
- Last paid property tax receipt (直近の納税領収書)
- Last paid electricity bills/maintenance bills (直近の電気代及び共益費の支払い領収書)
- Pan card of owners (物件所有者の納税カード)
7. 契約までの流れ
デューデリジェンス後、契約格子を借主・貸主で摺合せ、その内容を基本合意書 (LOI: Letter of Intent) として書面化し、双方の署名を行います。
借主はLOIで合意した敷金の内、50%を本契約書締結前に貸主側へ支払う必要があります。
また、登記手続きは、当局へ貸主・借主の双方が出廷の上、行わなければなりません。
入居前には、初期費用を全額支払うことが必須となります。